不運があっても、結果を出すコツを考えてみた。
ミクシィの朝倉さんがインタビューで、こんなことを言っていたので今日は運について考えてみたい。
これは僕の感覚で、すべての会社に当てはまるかどうかはわからないけれど、ミクシィの立て直しに必要だったのは、ロジックや戦略などの「理」と、やると決めたことをやり抜く「心」の強さ、そして「運」という3つの要素だったと思います。この「理」と「心」と「運」が、最終的な成果にどれくらいの比率で影響しているか、自分なりに考えてみると、1対4対5くらいなんです。つまり「理」が1、「心」が4、「運」が5。(東洋経済オンラインより)
成果に対して、運が半数。
経営に予期しなかった事象が与える影響が非常に大きいのだろう。実際、モンストがここまで当たるとは、朝倉さんも想像してなかったのではないかと思う。
ただ、ミクシィは運がいいよね-、モンストが一発あたったからね、というのも学びがない。
実際インタビューの続きでも以下のように書かれている。
でも運任せかというとそんなことはなくて、前半の「理」と「心」を尽くしたところに、後半の「運」が着いてくる。(東洋経済オンラインより)
似たような考え方がビジョナリー・カンパニー4で取り上げられている。
ROL、運の利益率という考え方だ。
全体として10X型企業が比較対象企業よりも強運であるとはいえないことが判明した。両グループとも同じ程度の幸運と同じ程度の不運を経験している。ここから導かれる結論は何か。10X型企業成果をもたらすのは、運ではなく人間であるということだ。基本的な質問は「あなたは強運の持ち主か」ではなく、「あなたは高い運の利益率を達成しているか」である。(ビジョナリー・カンパニー4より)
幸運、不運が平等に起こるのであれば、予期せぬ事象が起きた時に、以下のシナリオのどれに着地させられるかが重要だということだ。
- 幸運からの高リターン
- 幸運なのに低リターン
- 不運なのに高リターン
- 不運からの低リターン
ミクシィという企業はどうなのだろうか。SNSという幸運からの低リターン、モンストという幸運からの高リターンという印象でしょうか。いや、SNSではなくバタラさんからの高リターンという人もいるかもしれません(前回のブログでご紹介したセミナー講師の方は、学生時代のバタラさんが自分の会社にインターンに来てくれていたのに、彼の可能性、SNSの可能性に気が付かなかったと後悔の便を述べていました)。
まぁ、他人様のことはなんとも言えませんので、運の利益率を高めるために自分の経験を振り返ってみようと思う。
前提として、なんとなくだけど幸運の活かし方と不運の乗り切り方は違う気がする。
どちらに注目しようかと少し悩んだが、不運の乗り切り方について振り返りたい。
というのも、幸運によって短期的に業績を伸ばせたとしても継続的な成功は約束してくれてない。一方、企業は不運によって、終わってしまうこともあるからです。
さて、自分のビジネス経験を少し引っ張りだしてみよう。
※具体的な事例を書いていたのですが、ちょっと生々しいのでカットしました。そうすると後ろの文章がつながらない気もしますが、、、
当時は次から次へと問題が起きることに、ベンチャー経営とはそういうものかと思っていたが、不運に見まわれているように見えて、そのときはベストだとおもった意思決定が次の問題を起こしていることが多いように思う。
結果論ですが、今になって振り返れば、もっとうまくやれるポイントを上げてみます。
1.各ファンクション間の影響を互いに把握する。
仕事は部署内で完全完結のすることがほとんどありません。どこかの部署になんらかの影響を与えることがほとんどです。故に、相手に与える影響が把握できていないと部分最適の結果が、次の問題を発生させます。たとえば、
- 採用チームが送ってくれた人の教育に営業現場の時間が余計取られたり。
- 離職率を下げるために企業文化の強化し、逆に離職者が増えたり。
- 営業部門が財務部門が絶対に達成してほしい業績ラインを理解しておらず、資金繰りに必要以上に手を煩わせたり。
順番に対処するべき問題もあると思うのですが、コミュニケーションしていれば避けられるものや準備できるものも多い。僕はまさに問題の渦中の現場を奔走していたわけですが、こういう因果関係が正直見えていなかった。
一度経験するとパターンを覚えてきて、物事のつながりが見えてくるようになるが、各部門のコミュニケーション量を上げお互いに全体をシステムとして考える癖があると、起こることが想定できるようになると思います。
2.危機のサインを見逃さない。
因果関係がわからず意思決定したとしても、玉突き事故はすぐに起こるわけではなく、煙がくすぶる時間を経て問題が発生する。これは問題になる可能性がなと思ったことはたいてい顕在化した気がする。特に内部の問題は。
問題の早い段階で、コミュニケーションが取られるような関係性と対策を取る気があるマネジャーが揃っていないといけない。当時を振り返ると、いろいろ問題なのはわかっていながら、人に関わる問題が多いので口に出さなかった。陰口に思われるのを避けるのではなく、オープンに話し合ったほうが良かった。人間関係から逃げずに向き合わないといけません。
3.ダウントレンドの中でも活躍する、内発的動機づけされたメンバーを採用しておく。
よく言われていることだが、事業や会社の成長を語って人を採用すると、業績が悪化したタイミングで会社を去ることになる。会社を見限るようなかたちで人が抜けると、会社の雰囲気は悪くなり連鎖的に退職者が出てしまうことがある。雰囲気を変えるには、周りに引っ張られずに、なんでここで自分が働いているのかという問いに自分なりの答えを持っている人が必要。さらにいうと毎年の採用レベルを上げておくとよい。たいがい閉塞感を感じた先輩から辞めるので、ポジションが空いた時に、より優秀な後輩が入ってくれると企業は失敗をするたびに強くなる。
とつらつら書きましたが、失敗しない組織はないので、「わたしを殺さないものは、わたしをいっそう強くする。」というニーチェの言葉の通り不運から学習を続けることが大切だと思います。前職の役員がうちの会社が強いのは、創業時に事業があたらず、事業を変えながら試行錯誤してきたからだと言っていたのをふと思いだします。
(余談)ブログの内容は昨日ほぼ書き終えていたのですが、今朝セプテーニの佐藤さんがセミナーでニーチェの言葉を大切にされているとお聞きし、びっくりしました。偶然があるもんですね。
ちなみにセプテーニさんは知らない会社ではなかったのですが、はじめて佐藤さんのお話をお聞きしました。頭がいいと噂は各方面から散々聞いてましたが、各スタートアップへのフィードバックをはじめ非常に勉強になるところがありました。何事も定量化する思考習慣と正しい習慣を作れる意志力、見習いたい素敵な方でした。
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